ずっとずっと後、生まれ変わりの子と
ぱちくり。
「タケル、背、伸びた?」
そう尋ねると、え、といとけなさを残す声音が返ってきた。ぱたぱた隣に立ち、手を頭まで上げて、せいくらべ。
ほんの数センチ、少年――いや、青年の頭は、上にあった。
「うん、やっぱり。君の方がちょっと高いね」
「言われてみれば、ちょっと視線がずれるかも……」
「ああ、……そっか、それもそうだよね」
もう一人の彼は吸血鬼だけれど、今目の前にいる彼は間違いなく人間だ。成長するのは当然で、そして今の彼と自分はもはや血も繋がっていないのだから、双子だった時とは差があるのも当然だった。
それなのに、顔もその魂から同じだったから、つい忘れてしまっていたのだ。成長は間違いなく嬉しいけれど、思わぬ油断をつかれたようで、ほんの少しだけ切なくなる。
「……なんか、ごめん」
不意にぽつりと謝られて、物思いから我に返る。何も悪くないのに、相変わらず優しい子だ。
「君は何一つ悪くないよ。大丈夫、だから」
宥めたくて、伝えたくて、本心を乗せて、少し上まで顔を寄せる。
ちゅ、と軽いリップ音が彼の頬をほんのり染めて、可愛らしく思う。それが表情に出ていたのか、少しばかりむっとした顔をされて、今度は彼から仕掛けられた。
「ん、……」
きゅう、と腰を抱かれ、服越しの体温がより近くなって、そっと目を閉じる。
もう一人の、人ならざる強さで求められるままにぎゅうと抱き締めてくれるのも、とても好きなのだけれど。少しだけ手探りで戸惑いの残る、それでも必死で優しい抱擁も好きなのだ。
「ふ、……タケル、あったかい」
「子供体温だから?」
「あっちのタケルに言われでもした? そうじゃないよ、君はずっとあったかくて……確かに子供体温なのかな」
冗談混じりに言ってみたら、うりゅっと表情を歪められて、少し慌てた。頭を撫でて宥めて、ごめんごめん。
「君の傍は安心するってことだよ」
「――なら、いいけど」
むうと頬を膨らませて、少しばかり力を強めてきたので、苦笑して好きにさせることにする。
細くてちいさかった身体がおおきくなって、しがみつくよりも抱き締められて。抱き心地も抱かれ心地も、思えば懐かしいそのままだ。
視界を滲ませるのは、一度亡くしたものが帰ってきた奇跡的な幸福。瞼の裏に隠したそれをごまかしたい気持ちで、なにより単にそうしたくて、そっと頬を擦り寄せた。
身長越されたIF